「子どもが乗れるスーツケース」を調べると、たいていこの2つに行き当たります。
のりっこ(NORICCO)とキッズトラベル。
どちらも子どもを乗せて引けるスーツケースで、見た目もよく似ています。比較記事もたくさんあります。
ただ、読んでも決められませんでした。両方を実際に使ったうえで書かれた記事が、見つからなかったからです。片方だけを持っている記事か、どちらも持たずにスペックを並べた記事がほとんどでした。
我が家は2025年7月に、この2つを候補にして、キッズトラベルを選びました。それから1年1ヶ月、グアムに2回と国内でも使っています。
先に結論を書きます。
スペックで選ぼうとしても、選べません。 容量も重さも耐荷重も対象年齢も外寸も、調べたらほぼ完全に同じでした。
それどころか、うちのキッズトラベルの足置きを定規で測ったら、のりっこがメーカーサイトで公表している数字とぴったり同じでした。
機能の面で大きかった違いは、1つだけです。
結論:決め手は「座面」だけ
当てはまるほうを選んで大丈夫です。 中身はそれくらい同じでした。
<のりっこが向いている人>
<キッズトラベルが向いている人>
我が家はこちらを選びました。 理由は「座面の違い」の章で書きます。
先にお断りしておきます。 我が家が持っているのはキッズトラベルだけです。のりっこは購入時に検討しただけで、実物は触っていません。 のりっこについては、メーカーが公開している仕様と、購入時に自分が何を見て見送ったかしか書けません。実際の使用感を語ることはできません。
まずスペックを並べてみた。ほぼ同じでした
両方のメーカーが公開している数値を、そのまま並べます。
比較しているのは、のりっこのMサイズとキッズトラベルの折りたたみタイプです。どちらも「一番大きいモデル」にあたります。
| 項目 | のりっこ Mサイズ | キッズトラベル 折りたたみ |
|---|---|---|
| 容量 | 64L | 65L |
| 重量 | 4.0kg | 4.0kg |
| 耐荷重 | 50kg | 50kg |
| 対象年齢 | 3〜12歳 | 3〜12歳 |
| 外寸 | 幅58 × 奥行25 × 高さ59cm | 幅58 × 奥行25 × 高さ59cm |
| 座面まわりの寸法 | 26cm / 37cm | 26cm / 37cm |
| ボディ素材 | ABS樹脂とポリカーボネート | ABSとPCを配合 |
| 足置きの大きさ | 10cm × 6cm | 10cm × 6cm(我が家で実測) |
| ロック | 公式は「防犯ロック」とだけ記載(種類の明記なし) | ダイヤル式のTSAロック(実物で確認) |
| 機内持ち込み | 不可 | 不可 |
| 商品ページ | のりっこMを見る | キッズトラベル65Lを見る |
数字で違うのは容量の1Lだけです。
しかも、細かいところまで数字がそろっています。座面まわりの26cmと37cmという中途半端な数値まで一致していますし、足置きは我が家で実測して10cm×6cm。のりっこがメーカーサイトで公表している数字と同じでした。
念のため書いておきます。 ここまで数字が一致していますが、2つが同じ製品だと言っているわけではありません。確かめる方法がないので、断定はしません。 言えるのは「公表されている数字で選び分けることはできない」ということだけです。
しかもこの1L差は、気にしなくていいと思います。のりっこのメーカー自身が、仕様表に「サイズ数値・スペック表記は計測方法や仕様変更により誤差がある場合がございます。おおよその数値ですので、あくまで参考としてご留意ください」と書いているからです。
測り方が違えば1Lくらいは動く、ということです。
| どちらを選ぶか | この表から言えること |
|---|---|
| 容量で選ぶ | 選べません(1L差) |
| 重さで選ぶ | 選べません(同じ) |
| 耐荷重で選ぶ | 選べません(同じ) |
| 対象年齢で選ぶ | 選べません(同じ) |
| 大きさで選ぶ | 選べません(同じ) |
比較記事を何本読んでも決め手が出てこなかったのは、そもそもスペックに差がなかったからでした。
買う前に必ず見てほしい、商品ページの落とし穴
スペックの話より先に、ここを知っておいてください。
どちらのブランドも、モデルが複数ある
まず前提として、のりっこにもキッズトラベルにも複数のモデルがあります。座面の仕様違いや、機内持ち込み用の小さいモデル、中間サイズなどです。
この記事で比較しているのは、どちらも「一番大きい64L/65L級」の1モデルずつです。
| この記事で比較しているモデル | 記事では扱わないモデル | |
|---|---|---|
| のりっこ | Mサイズ(64L・クッション座面) | 機内持ち込み用の小さいモデル、座面仕様違い など |
| キッズトラベル | 折りたたみ(65L) | 中間サイズ、機内持ち込み用の小さいモデル など |
そして商品ページのタイトルが、どのモデルもよく似ています。「子供が乗れるキャリーケース」「おしり痛くないクッション付」といった同じ言葉が並ぶので、タイトルだけ見ると見分けがつきません。
タイトルではなく、仕様表の「容量」を見てください。 この記事で比較しているのは64L/65Lのモデルです。これらは機内持ち込みができません。 機内に持ち込みたい場合は、もっと小さいモデルを選ぶ必要があります(のりっこには45Lと32L、キッズトラベルには32Lがあります)。ここを間違えると取り返しがつきません。
よく似た商品名の、まったく別の品もある
もう1つあります。
通販サイトで「キッズトラベル 乗れるキャリーケース」と検索すると、よく似た商品名で、価格が半分以下の品が並ぶことがあります。聞いたことのないショップ名のものです。
我が家が買ったのは、キッズトラベルの公式ショップが出している品です。
買う前のチェック
- ショップ名が「キッズトラベル 楽天市場店」など公式のものか
- 価格が極端に安すぎないか(正規品は1万円台です)
- 仕様表に65L・耐荷重50kg・対象年齢3〜12歳の記載があるか
安いほうが同じ品だとは限りません。ここだけは確認してから買ってください。
本当の違いは、座面の素材でした
スペックが同じなら、どこで選ぶのか。
座面です。ここだけが本当に違います。
| のりっこ | キッズトラベル | |
|---|---|---|
| 子どもが座る面 | PUレザーのクッション | 本体と同じ硬い素材 |
| 狙い | 乗り心地 | 扱いやすさ |
のりっこは、座る部分がふかふかのクッションになっています。乗り心地を優先した作りです。
キッズトラベルは、座面も本体と同じ硬い樹脂です。クッションはありません。
私がのりっこを見送った理由
購入時、我が家は最後までこの2つで迷いました。決め手はこうでした。
1つは価格でした。 当時はキッズトラベルのほうが安く買えました。
もう1つが座面です。 正直に書くと、スーツケースにそこまで乗り心地を求めていませんでした。
そして気になったのが、クッション素材が屋外に出る場所にあることでした。
スーツケースは空港の床にも置きますし、雨に当たることもあります。その場所が布やレザーだと、傷や汚れが目立ちそうだと感じました。
全体が硬い素材でできているほうが気楽だと思って、キッズトラベルにしました。
メーカー自身も「手入れが要る」前提で案内している
これは自分の感覚だけの話ではありませんでした。
のりっこの商品ページには、「PUレザーのお手入れ方法」という案内が載っています。長く使うために守ってほしいこととして、専用の項目が設けられています。
メーカー自身が、手入れをする前提で作っているということです。
これは欠点ではありません。乗り心地を取った結果、手入れが要るようになっただけです。
ここが選び分けのすべてです 子どもの乗り心地を優先するなら、のりっこ。座面は手入れしながら使うものと考えてください。 扱いの気楽さを優先するなら、キッズトラベル。座り心地は硬いです。 どちらが優れているという話ではありません。何を優先するかだけです。
乗り心地を取るなら:のりっこ
座面がクッションになっています。実物を触っていないので乗り心地は語れませんが、長く座らせるならこちらのほうが快適だろうと思って比較しました。手入れをしながら使う前提の作りです。
扱いの気楽さを取るなら:キッズトラベル
座面は硬いですが、屋外に置いても気になりません。我が家はこちらを選びました。
スペック表に出てこない、1年使って分かったこと
ここからは、どちらを選んでも直面することです。
構造がほぼ同じなので、片方で起きることは、もう片方でも起きる可能性が高いと思っています。買う前に知っておいてください。
以下はキッズトラベルを1年1ヶ月使った我が家の記録です。 のりっこは実物を触っていないので、のりっこで同じことが起きると断定はできません。ただし構造と寸法がほぼ同じなので、参考にはなると思います。
足置きは、乗っている途中で戻ってしまう
これが一番よく起きました。
子どもを乗せるとき、本体の側面から足置きを引き出して使います。畳んだ状態と出した状態は、こう変わります。


問題は、この足置きがそれほど広くないことです。
普通に座っていると、子どもの足がだんだん落ちてしまいます。そして落ちた足を上げようとする動作で、足置きを下から蹴り上げてしまう。
蹴り上げられた足置きは、そのまま畳まれた状態に戻ります。
つまりこういう連鎖です。
1. 足置きが狭いので、足が落ちる 2. 子どもが足を上げようとする 3. その動作で足置きを蹴り上げる 4. 足置きが閉じる 5. 親が止まって、出し直す
移動中に何度か、止まって足置きを出し直す必要がありました。
これは製品の欠陥というより、この構造なら起きることだと思っています。足を乗せる板を本体の側面から出す作りである以上、上から蹴られれば戻ります。
そして、のりっこでも同じことが起きる可能性が高いです。
のりっこはメーカーが足置きの寸法を公開していて、10cm × 6cmとあります。我が家のキッズトラベルを定規で測ったところ、まったく同じ10cm×6cmでした。
| 足置きの大きさ | |
|---|---|
| のりっこ | 10cm × 6cm(メーカー公表値) |
| キッズトラベル | 10cm × 6cm(我が家で実測) |
足を乗せる面積が同じなら、のりっこでも近いことは起こりうると思っています。
ただし、これは寸法が同じという事実からの推測です。のりっこで実際に同じことが起きるかは、確かめていません。
なお、我が家が子どもを寝かせるために足を固定したときは、この問題は起きませんでした。足が落ちないように留めていたからです。ただしこれはメーカーが想定した使い方ではないので、おすすめはしません。
寝かせたときの話は、こちらの記事に写真つきで書いています。
坂道は、引くとしんどい
平地なら気になりません。緩い坂も問題ありませんでした。
ただし、ある程度の急な坂になると、子どもを乗せたまま引いて登るのは厳しかったです。
理由は姿勢だと思います。スーツケースを引く姿勢は、体の後ろから斜め上に引く形になります。この姿勢のまま、子どもの体重ごと坂を登ろうとすると力が入りません。
ハンドルを引くのではなく、本体を後ろから押せば違うのかもしれません。 ただ、それは「キャリーケースを気軽に引く」という使い方からは外れます。
我が家は、急な坂では降ろして自分で歩いてもらうようにしました。
坂は「引ける/引けない」ではなく「引く姿勢で登れるか」で考えてください。 緩い坂なら引けます。急な坂は、降ろしたほうが早いです。
路面によって、引きの重さは変わる
同じ製品でも、走る場所で体感がまったく違いました。
| 路面 | 体感 |
|---|---|
| 空港のようなツルツルの床 | とても楽 |
| 普通の歩道のアスファルト | 問題なし |
| 本当に粗い舗装 | 少し重い |
ただし、これは普通のスーツケースでも同じです。子どもが乗れるスーツケースだから特別に重い、という話ではありませんでした。
「重い」という声については、階段や段差を含めた運用の話として、こちらの記事で詳しく書いています。

横に倒れたときが、一番ひやりとする
重さより気を使ったのはこちらでした。
段差などに引っかかって、本体が横に倒れることがあります。
荷物だけなら「倒れた」で済みますが、子どもが乗っている状態で倒れると危ないです。実際に大きな怪我をしたことはありませんが、ここが一番ひやりとする場面でした。
大きめの段差は、それ自体が怖いです。 壊れそうという不安もありますし、倒れる不安もあります。我が家は大きい段差では止まって、持ち上げるか降ろすかしていました。
引く人が気をつけるべきなのは、重さではなく横方向です。 段差に対して斜めに突っ込むと倒れやすくなります。段差はまっすぐ、ゆっくり。
収納は思ったより浅い。子どもの荷物専用と割り切る
容量は64Lや65Lとありますが、奥行きが浅いです。
子どもが座れる形にするために、本体が薄く広い作りになっているからだと思います。
我が家の使い方はこうなりました。
このスーツケースには、子どもの荷物だけを入れる。 大人の荷物やかさばるものは、普通のスーツケースに入れる。
子ども服を中心に入れて、帰りにお土産を入れられるよう少し余裕を残しておく。これが一番うまくいった使い方でした。
裏を返すと、「これ1台で家族全員ぶんが入る」とは考えないほうがいいです。スーツケースが2台になる前提の道具だと思ってください。
我が家の場合は、これがむしろ買ってよかった理由になりました。理由は単体レビューのほうに書いています。
1年でゆるんできた場所(我が家のキッズトラベル)
最後に、消耗について。
我が家のキッズトラベルは、1年1ヶ月使って2箇所に変化が出ました。
1つは持ち手です。 本体に留めていた両面テープが剥がれて、ハンドル側に移ってしまいました。

もう1つは車輪のストッパーです。 押し込むボタンが、買った当初より固くなりました。

どちらも走行に支障はありません。ただ、1年でこうなるというのは知っておいていいと思います。
これはキッズトラベルの話です。 のりっこが同じように劣化するかは、実物を持っていないので分かりません。
参考までに、のりっこは交換用のタイヤ4個セットをメーカーが単品で販売しています。タイヤは消耗品として扱われている、ということだと思います。
劣化の詳しい話は、キッズトラベル単体のレビュー記事に書いています。
電車と新幹線では、どこに置くか
意外と書かれていないので、実際どうしていたかを書きます。
| 乗り物 | 置き場所 |
|---|---|
| 新幹線 | 普通のスーツケースと一緒に荷物置き場へ。または一番後ろの席を取って、座席の後ろの空間に入れる |
| 在来線 | 普通に持って乗っていました |
| 改札 | 問題なく通れます |
荷物棚には置けないと思います。 幅があるので、サイズ的に無理だと判断して試していません。
新幹線を使う予定があるなら、最後尾の席を取れるかどうかで楽さがかなり変わります。
なお、階段やホームの隙間があるところでは、我が家は必ず子どもを降ろしていました。乗せたままでも通れるのかもしれませんが、危ないので試していません。
価格で決めようとしないほうがいい
どちらも1万円台の製品です。ただし、私が実際に見た2回だけでも、安いほうが入れ替わっていました。
- 2025年7月(購入時): キッズトラベルのほうが安く買えたので、こちらにしました
- この記事を書いた時点: のりっこに大きめのクーポンが出ていて、それを使うとのりっこのほうが安くなっていました
両ブランドともクーポンが出たり消えたりするので、先に価格で絞り込もうとすると決められません。
おすすめの決め方 1. 先に「座面をどうしたいか」で決める 2. 決めたほうの商品ページで、そのときの価格とクーポンを確認する
ロックは「ダイヤル式」で「TSA」でした
海外旅行で預ける方に向けて、1つだけ補足します。
商品ページを見比べると、「TSAロック」と書いてある場所と「ダイヤルロック式」と書いてある場所があります。どちらが本当なのか分からず、私も買う前に迷いました。
実物を確認したら、答えは両方でした。

写真のとおり、3桁のダイヤルで開け閉めするタイプです。そして本体に赤い菱形のTSAマークと「TSA007」の刻印が入っています。
つまりダイヤル式のTSAロックです。矛盾していません。
買う前に迷ったら 商品ページの表記だけでは判断できませんでした。我が家のものは、ロック本体に赤い菱形のマークと「TSA007」の刻印が入っていました。 気になる場合は、商品ページの拡大写真やレビュー写真でこのマークを探すか、販売店に確認するのが確実だと思います。
我が家はグアムに2回持っていきましたが、預け入れで何か言われたことはありません。
それでも迷うなら
3つだけ答えてみてください。
Q1. 子どもを乗せている時間は長いですか? → 長い(移動時間の長い旅行が中心)なら、のりっこ → 短い、または空港と駅の移動くらいなら、次へ
Q2. 屋外に置きっぱなしになる場面はありますか? → ある(雨・砂・土の上に置くことがある)なら、キッズトラベル → ない、または手入れは苦にならないなら、次へ
Q3. 機内に持ち込みたいですか? → 持ち込みたいなら、どちらのブランドでも小さいほうのモデル(32L)になります → 預け入れでいいなら、どちらを選んでも大丈夫です。座面の好みで決めてください
Q3で「持ち込みたい」だった方へ。64Lも65Lも機内持ち込みはできません。
機内持ち込みに対応した小さいモデルは、のりっこに2種類(45Lと32L)、キッズトラベルに1種類(32L)あります。ここでは両ブランドの32Lを挙げます。
小さいモデルを選ぶときの注意 容量が半分になるので、「家族の荷物も入れる」使い方はできません。 子どもの荷物だけを入れて、身軽に動くための道具になります。
まとめ
1年1ヶ月、海外2回と国内何度かで使ってきた実感をまとめます。
<この記事の結論>
買う前に確認しておくこと
- どちらのブランドにも64L級と32L級がある。タイトルが似ているので仕様表の容量を見る
- よく似た商品名の別の品が安く並ぶことがある。ショップ名を確認する
- 足置きは乗っている途中で戻ることがある(我が家のキッズトラベルの話。寸法が同じなのでのりっこでも起こりうると考えている)
- 急な坂は引きにくい。降ろして歩かせたほうが早い
- 収納は浅い。子どもの荷物専用と割り切る
中身がここまで同じなら、迷う軸は1つに絞っていいと思います。
最後にもう一度だけ 子どもを長く座らせる旅行が多く、乗り心地を取りたいなら → のりっこ 屋外に置く場面が多く、傷や汚れを気にせず使いたいなら → キッズトラベル 迷ったら、我が家が選んだのはキッズトラベルのほうです。硬い座面でも子どもは喜んで乗りますし、扱いが気楽でした。
決めたあとに、そのときのクーポンを確認してみてください。
我が家が実際に1年使ったキッズトラベルについては、デメリットも含めて別の記事に詳しく書いています。「重い」という口コミが我が家に当てはまらなかった理由や、寝てしまったときの話は、そちらを読んでみてください。


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